FAZER LOGINルンドンベア北東にある森林地帯にやって来た我々。 昨日も話にでたが、全長三メートルだったり、小さかったり、鱗でびっしりだったり、あるいはもふもふだったりと、目撃証言が一致しない。 ではどうやって「ラドニー」を特定するかというと、ベイシック卿の脳内事典に載ってなかったらそいつがビンゴだ。 とはいえ、相手は未確認生物。まず、折良くでてきてくれるかどうか……。「いましたぞ!」 出たのかよ! 早え! 前方を見ると、藪の中で、なにか白い物体が蠢いているのが見えた。 大きさは……よくわからない。皆に、飛び道具を渡していく。幸い、こっちは風下だ。 一斉射! 命中! するとやつが、心臓が握りつぶされるような、強烈な悲鳴を上げる! や、やばい……心臓が……はぁっ……はぁっ……。 はー……。逃がしたかと思ったが、まだ白い影が見える。「追うぞ!」 幸い、我々の方が足が早いようだ。追いついた! 観念したのか、やつがでかい図体を持ち上げる。「卿、これは……!」「巨大マンドラゴラですな!」 人型をした、白い植物。しかし、うろついてるとは何事だ。普通は土中に埋まってるもんだ。 これがラドニーかどうかは知らないが、こんなでかいマンドラゴラは初めて見る!「狩りますか!?」「よろしくお願いしますぞ!」 問題は悲鳴だ。こいつを食らうと、最悪死ぬ。さっきはかろうじて耐えたが……。 いや、険しきを冒さずして、何が冒険者か! 依頼人からのOKもでた!「賦術火炎刃は使わずにいくぞ! 素材としての価値がなくなる!」 くそ! こんなのを相手するんだったら、耳栓を用意してくるんだったな!「こいつは、手足さえ切ってしまえば無力化できる! 頼むぞ!」 ナンシアが、飛びつき腕十字を極める。勢いで倒れる彼女とマンドラゴラ。 マンドラゴラに関節なぞないが、とりあえず左手の自由は封じた!「うおおおお!」 左手に刃を入れると、おぞましい絶叫を上げる! はぁっ……はぁっ……! よし! 左手もらった! 左手を失ったが、逃げようとするマンドラゴラ。逃がすか!「やあっ!」 パティが後ろから槍で串刺しにする。 とにかく負傷するたびに悲鳴を上げるのがキツイ! なるべく手早く片付けるしかない! 今度は、ナンシアが左足を極める
今日は、モロオさんにお茶に呼ばれている。彼が家に招くというのは、なにか厄介事の種を感じるな。 あと、そこにガッツリ飾られてるメイド俺の萌え絵、外してもらえませんかね……。「君たちにきてもらったのは、ちょーっとした頼み事があってね」 ほらきた!「セイブルさんのとこが、ちょーっと怪しいらしい」「ええと。まず、セイブルさんとやらから話していただけませんか?」 茶を一服。「そうだね。一言で言うと、僕の取引先の一つでね。魔物素材を扱っている結構な大店なんだけど、最近いい素材が入ってこなくて焦げ付きそうなんだ。セイブルさんとこが倒れると、僕も結構なダメージを受ける」「つまり、なにか上質な魔物素材が欲しいと」「話が早くて助かる。受けてくれるなら、紹介状を書くよ」 皆の様子を見る。不服なさそうだ。「では、まずは先方で話を伺ってからということでよろしいですか ?」「もちろん。じゃあ、一筆したためさせてもらうよ。失礼」 書斎に向かったであろう彼。しかし、魔物素材か。何がいいだろうね? ◆ ◆ ◆ 「ここか」 商業地区の一角に、セイブル商会はあった。「失礼します」 断りを入れて中に入ると、様々な魔物素材が陳列されていた。さすがに、ユニコーンの角といった禁制品はないが。「いらっしゃいませ。何をお求めでしょうか?」「あ、いや。モロオさんからの紹介で……こちらを」 店員に書状を渡す。一度礼をし、奥に立ち去ると、ややあって戻ってきた。「こちらへどうぞ」 奥に案内されると、赤髪ツインテールの少女が佇んでいた。書き物の途中だったようだ。「はじめまして。ベル・セイブルです」「はじめまして。ロイ・ホーネットです」 皆で、自己紹介していく。「ベルさんが、お一人で切り盛りを?」「いえ。恥ずかしながら、父母は金策に走り回っておりまして」 うーむ。本当に台所事情が厳しいのだな。「お茶をどうぞ」 まだ幼さの残るメイドが、お茶を配膳してくれる。「いただきます」 ほう……芳醇な香り。いい茶葉だな。台所事情は苦しいようだが、客人に失礼はできないという配慮か。「不躾ですが、さっそく話に入らせていただいてよろしいでしょうか」「はい」「魔物素材が必要とのことですが、どのようなものをお求めで?」 彼女が、ティーカップをソーサーに置く
「大司教様に副大司教様か。緊張するな」「ロイさん。オルナウ様はすべての信徒のもとに慈悲深いのです。なにも緊張することなどありませんわ」 朝早く、フランの先導で教会に向かっていると、振り返っていい笑顔で言う。 いや、俺信徒じゃないから心配なんだけど。アンデッドや異教徒に対する彼女の狂態は、今でも鮮明に思い出せる。モーニングスターで殴打されたり、聖王曙光輪ですり潰されたりしたくねえよ。 まあ、自分で会いに行くって言っといて、今更だけどさ。 見えて来ましたよ、大教会が。ドキドキしますねえ、色んな意味で。「ただいまですわーっ!」 フランが大扉を開けて中に呼びかけると、掃除中の信徒たちがこっちを向く。 そして、ずだだだだと走り寄ってくる、ヒゲでマッチョのおっさんが!「フラン!」「お父様!」 二人で腕をクロス!「アンデッドと邪教徒は!」「必滅あるのみ!」「オルナウの光は!」「正義の陽光!」 高らかに笑い合う二人。ぽかーんと、置いてきぼり状態。「ええと、ロイ・ホーネットと申します。その、大司教様でしょうか?」「いかにも! ラドネスブルグ教区を取り仕切っている、ハルベルト・セルティスだ! 娘が世話になってるようだね、はっはっはっ!」 なんつーか、ゴーカイな人だな……。「あなたったら、相変わらずねえ」 うお! びっくりした! 気配を消して謎の女性が!「副大司教のサリッサ・セルティスです」 なんというか、こちらはまともそうで良かった。「ところでロイさん。ぜひオルナウ教に入信しませんか? 今ならなんと、ホーリーアイテムを無料進呈中です。喜捨として……」「あー、いえ。間に合ってます」 猛烈な営業トーク! 前言撤回、まともじゃなかった!「はっはっはっ! 遠慮することないではないか! 入信したまえ!」 ハルベルトさんに、肩をバンバン叩かれる。やっぱ、こなきゃよかったかな……。「ところで君、いままでアンデッドをずいぶん倒したそうだね?」「はあ、まあ」「いいぞ! 見込みがある! やはり入信するしかないな!」 豪快に笑いながら、肩をバンバン叩いてくる。回れ右していい?「お父様、お母様。お茶ぐらい、お出ししませんと」「それもそうだな! 用意しよう!」 のっしのっし&しずしずと去って行く。うう……逃げたい! 今
テーブルにつくと、さっそく食前酒と肉料理の小皿が運ばれてきた。「鴨……ですね?」「ああ。いいのが手に入ったので、料理させた」 いただこう。……うむ。東の川、そこを泳いでいたのだろうな。良く引き締まった、野趣溢れる味。鶏とは違う、滑らかな肉質。そして、程よい脂。ふう……これに、白ワインが合う。見事な一番槍。「そういえばパティ。なんで戦士をやっているのかという話が宙ぶらりんだったな」「そんな難しい話でもないんですよ。ボク、男の人の視線が苦手なんで、こうやって顔を隠せる仕事を探したら、これに行き着いたんです」 いや、ずいぶん難しいよ!「顔を隠して、家業を手伝うのではだめだったのか?」「客商売で、それはちょっと……」 むう。道理ではあるが、女性向け服飾店なら、あまり男性客はこないのでは? まあ、合縁奇縁。頼れる盾役がいて助かっているから、この選択を否定する筋合いもないか。 などと話していると、次の皿が運ばれてきた。 コンソメスープだ。「! これは、青い三日月亭の……!」「ご名答。彼女らはいい仕事をするね」 しれっとおっしゃるロイドさん。お抱えに技を盗ませるとは、食えない人だ。 続いて魚。「サクラマス……。これも青い三日月亭の味ですね?」「いい舌をしているね。あそこの料理は大変参考になると、シェフが言っていたよ」 やれやれ。女将さんたちの、商売敵じゃなくてよかった。 そして、やはりきたか! 鴨のステーキ! いいのが手に入ったと言っていたもんな。ここで、赤ワインがサーブされる。 モム……。モニュ……。ナポ……。 野趣あふれるこの味わいは、やはり鴨。おお、鴨よ。一体、どんな異国の風景を見てきたんだ? あの寒い、エーデルガルドか? あるいは、そのさらに北か? その生命力、ありがたくいただこう。 最後にデザート。のはずだが。なんだろう、この黒い物体は?「不思議そうだね。それは羊羹という。バーブルと、そのさらに東、オウカで食べられている」 ごくり。どんな味がするのか。 これは甘い! ケーキなどとは、まったく違った風合い! いやはや、バーブルでこんな甘味を見逃していたとはしくじったな! バーブルの茶に始まり、バーブルのデザートで終わったか。「お見事です」「ありがとう。ところでパティ。悪い虫はついていないだろうね?
「え、ボクの家族に会うんですか?」 提案を切り出すと、パティが意外そうな顔……をしているかどうかわからないが、そんな声音で言った。「うむ。思えば、君とフランのご家族に会ってなかったな、と。都合が悪いだろうか?」「いえ、ボクは構いませんけど」 わたわたと手を降る。「アポは取ったほうがいいよな。頼めるか?」「あ、はい! では、ちょっと行ってきます!」 手早く朝食を終え、勘定を済ませると、がっしゃがっしゃと退店する彼女。「急がなくてもいいのに」 ミルクを飲み、やれやれと首を振る。「そういえば、クコのご家族はやはり遠くに住まわれているのか?」「はい。グリーン・ヘブンの森に」「そりゃ遠いな」 ミルクをもう一口。「でも、きっと元気ですよー! あっちのほ」「黙れ」 笑顔で制する。どうしてこうなんだ、こいつは。「フランは?」「この街の大司教と、副大司教ですわ」 ほー。そりゃまたすごい。 そんな雑談をしながら、ゆっくり朝食を愉しむ。うむ! やはりたまごサンドは鉄板だな! まったく、一度ダイス状にするという小憎いアイデアは、誰が考えたのだろうか。実に食べやすいではないか。美味し、美味し。 ◆ ◆ ◆ 「戻りました~」「おかえり」 暇潰しにカードゲームをしていると、パティが戻ってきた。「夕食を共にしたいと」「ほう。それはそれは。やはり、バリッとした格好で行くべきだろうか」 服の袖口を引っ張る。「いえ、気軽な格好でとのことで」「わかった。せっかくだから、パティも混ざってくれ。今、いい勝負なんだ」「はーい」 こんな調子で、夜まで時間を潰すことに。 ◆ ◆ ◆ 「ほう、商業地区か。パティの実家の生業は、商家なのか?」 夕刻、パティに道案内されていると、戦士の家にしては不似合いな方角に向かっていることに気づく。「はい。女性用の服飾を扱っているんです」 ほほー。サンキスト……女性服……。「あそこか!」 サンキスト服飾商会。このへんじゃ、ちょっとした有名店だ。「また、なんだって商家の娘さんが、戦士に」「そのへんは、家で話しましょう。そろそろ着きます」 るんるんと道行くパティの後ろを、ぞろぞろとついていく。 ◆ ◆ ◆ 「おかえりなさいませ、お嬢様。そして、ようこそいらっしゃいませ」「ただいま!」 しゃんと
「わかったよ。武装解除するよ」 剣を下に置く。顔を愉快そうに歪めるステルベン。「次に……」 魔導書をつまむ。「雷王撃砕嘯」 電撃がほとばしり、やつを粉砕する! 魔導書には、触れているだけでいい! 剣を拾うと、ダッシュ! 復元したステルベンを、斬り伏せる。「憤怒爆獄炎!」「見切ったァッ!」 サンを抱えて、転げて回避!「ステルベンへの攻撃は無駄だ! ダンタリオンを先に仕留める必要がある!」 ステルベン、いくらなんでもタフすぎる! ダンタリオンが復活させてるんだ!「強重結縛糸!」「グムッ!?」 ダンタリオンの真下の黒円から、黒い直糸が幾本も無数に伸びていき、地に引きずり落とす。「ステルベンは私が! ヒョホォッ!!」 奇声はともかく、助かる!「なんてひどいことをするんだ……。悲しいなあ……。氷獄殲滅嵐ぉ……」 ごろんと転がり「哀」になると、ステルベンやゾンビを巻き込んで、氷結魔法を繰り出してくる! 痛え! 灼ける! くそ! シャックスを思い出すな! しかし、そこにクコの命活癒術草と追い超力賦活草! 力がみなぎる!「くたばれサイコロ野郎!」 剣で斬りつけるが……手応えがまるで無い!?「私も!」 ナンシアも殴りかかるが、やはり手応えがなさそうだ。 なんなんだ、こいつは!? 何度斬りつけても、やはり手応えがない。なのに、こちらはやられっぱなしだ。まずい。 俺が持っているのは魔剣だ。ついでに、賦術火炎刃もかかっている。だから、ワイトのような相手にも効く。 すると、こいつがノーダメのからくりはなんだ? ありうるのは、影が本体か!? 影に刃を突き刺してみるが、平気で転がっている。外れか! ふと、上を見る。手甲と魔導書。もしや。「雷王撃砕嘯!」「ギャアアアムッ!!」 魔導書に電撃を食らわすと、ダンタリオンがおぞましい悲鳴を上げる。こっちが本体か!「強重結縛糸!」 魔導書を地上に引きずり落とすと、燃え盛る剣で切りつける!「ゲバァッ! やめて……お願いだから……」「やめるわけね







